「運動神経」は遺伝で決まるのか?

今回は、「運動神経」についてお話したいと思います。

普段何気なく、「あの子は運動神経がいい」とか、「運動神経が悪いからスポーツができない」のようなことをよく言うと思います。

「運動神経」というのは、元々持って生まれたものなのでしょうか?

一部の天才のような子だけが「運動神経」がよく、そのほかの子たちは「運動神経」を伸ばすことはできないのでしょうか?

実は、運動神経は後天的にいくらでも伸ばせることが分かっています。

「どうも運動神経がよくないな」と思っているキミ、あきらめるのは早い!

「運動神経」ってなに?

そもそも、「運動」というのは、走る、とぶ、投げる、捕るというスポーツ的な動きはもちろん、歯をみがく、顔を洗う、キーボードを打つ、字を書くなどのありとあらゆる人間の体の動きのことです。これらはすべて脳によってコントロールされています。

その脳に外界の情報を伝えるのは視覚(目)、聴覚(耳)、嗅覚(鼻)、味覚(口)、触覚(皮ふ)といった五官です。五官が外からの刺激をただちに脳に伝え、脳はその情報を分析し判断し、どの筋肉をどの程度使うかの指令を出します。その指令にしたがって何か行動すると、それがどんな結果になったのか、それによって何がどう変わったのかという情報を感覚器官、つまり五官がまた脳に伝えるのです。こうした繰り返しが延々と行なわれているのが、わたしたちの運動というものです。

したがって、運動神経がいいとか悪いとかいうのは、脳の指令を筋肉に伝え、実際にその筋肉を動かせるかどうか、ということになります。
大きくて力があるということや体力にすぐれているということは、運動をする上でとてもプラスにはなりますが、体力=運動神経というわけではありません。

体力は、大きく分けると「筋力」「持久力」「敏捷性」「柔軟性」の四つに分けられます。このうちの一つが、飛び抜けて強いという人もいます。
体力と運動との間をうまくつなぐパイプ役を果たすのが、運動神経だといってもよいですね。

「運動神経」は遺伝ではない?

運動神経は生まれつきのものだから、どうしようもない。そう考えているお父さんやお母さんは、けっこう多いのではないでしょうか。
しかし、運動ができないというのは、運動神経がなかったり悪かったりするのではなく、その発達が少し遅れているか、あるいは使い方が悪いのです。つまり、生まれつき運動神経が悪い人というのは、ほんとうはいないのです。
今、小学校に通っていて、どうも体育が苦手だという子どもたちは、その前の段階、つまり幼児期の過ごし方に問題があったと思われます。これまでの研究では、「幼児期に適切な環境と運動刺激が与えられれば、小学校に入学する頃には、人間として一生涯で行なう、いろいろな運動を、だれでも身につけることができる」といわれています。

それは「歩く」に始まって、「走る」「とぶ」「投げる」「捕る」「転がる」ぶらさがる」などです。

現在の日本の小学生の運動能力には、「すごく動けないか、すごく動けるか」の、「二極化現象」が起きています。
別な言い方をすれば、「飛び抜けてすごくはないけれど、たいていのことはできる」といった子どもたちが、少なくなっているということです。
ではなぜ、そんなことが起こってしまったのでしょうか。それは、人間の運動の習得や発達は、環境(人的、物的)との積極的な交流の中で行なわれるものなのです。つまり、立ち上がって歩き始めてからの五年間(幼児期)と小学校の六年間に、どんな環境とどんな運動刺激が与えられるかで、子どもの運動神経の伸び具合に大きな違いが出るのです。

最近では、「塾」や「習い事」に週何回も通ったり、家に帰ったら「ゲーム」をしたりと、運動をする環境がどんどん減っています。

これに対して、幼児期にさまざまな運動体験を積んで小学校に入学した子どもが、体育の時間ばかりでなく休み時間にも校庭で体を使って遊び、4年生頃からスポーツクラブなどで本格的な指導を受けたりすれば、すごい動きをする小学校5、6年生が出てきても不思議はありません。
運動神経は、適切な時期に、適切な環境で、適切な刺激を受けることさえできれば、いくらでも伸ばすことができます
「運動神経は遺伝ではない」のです。

終わりに

早稲田ユナイテッド横浜では、こうした理論に基づいて「幼児サッカー」や「かけっこクラブ」などのプログラムを作りだしています。
様々な競技の動きを取り入れる「クロストレーニング」を行うのもそのためです。

幼少期に適切な量と質の運動を行えば、誰もが「スポーツ得意な子」になれる可能性があるからです。

一度獲得した能力というのは、そう簡単には忘れません。自転車に乗れるようになったのに、また乗れなくなった、ということは基本的にはないからです。

もちろん、誰しもがサッカーでいえばリオネル・メッシ、陸上でいえばウサイン・ボルト、のような動きができる訳ではありません。
大切なのは、トップアスリートが、なぜあのような動きができるのか、ということを学ぶことです。

「運動神経がない」、「才能がない」と、今悩んでいる小学生は、焦らず一つ一つできることを増やしていきましょう。

それが、サッカーやかけっこの上達に繋がりますよ!

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